大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和49(オ)27 判決

主 文

原判決を破棄し、本件を大阪高等裁判所に差し戻す。

理 由

上告代理人赤松進の上告理由第一について。

原判決は、被上告人は、上告人が訴外Dより不動産を買い受けるについての仲介

をし、その報酬金に関して右売買契約成立と同時に上告人より金一〇〇万円の支払

を受けるとの合意をしたところ、右売買契約は昭和四四年一一月一四日に成立した

から、被上告人は上告人に対して一〇〇万円の報酬金請求権を取得した旨を認定、

判断したうえ、そのうち既払の四〇万円を除く六〇万円について、上告人に対し被

上告人への支払を命じたものである。

論旨は、右報酬金は、売買契約が成立し、その履行がされて売買が完結したとき

にのみ支払われる約束であつたところ、右売買は完結されずに終わつたから、被上

告人には報酬金請求権が生じていない旨を主張する。

思うに、仲介人が宅地建物取引業者であつて、依頼者との間で、仲介によりいつ

たん売買契約が成立したときはその後依頼者の責に帰すべき事由により契約が履行

されなかつたときでも、一定額の報酬金を依頼者に請求しうる旨約定していた等の

特段の事情がある場合は格別、一般に仲介による報酬金は、売買契約が成立し、そ

の履行がされ、取引の目的が達成された場合について定められているものと解する

のが相当である。そうすると、本件報酬金一〇〇万円も、特段の事情のないかぎり、

右のように取引の目的が達成されたときにのみ請求しうるものとみるべきところ、

取引の目的が達成されたか否かを顧慮することなく、また、なんら特段の事情を認

定することなく、単に売買契約成立と同時に支払うとの約定があつたことから直ち

に右一〇〇万円全額につき報酬金請求権が発生したとする原判決には、審理不尽、

理由不備の違法があるといわなければならない。論旨は理由がある。

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したがつて、原判決は破棄を免れないところ、本件報酬金に関して、前述のよう

な特段の事情があつたか否か等につき更に審理を尽くすため、本件を大阪高等裁判

所に差し戻すのを相当とする。

よつて、民訴法四〇七条一項に従い、裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決

する。

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 下 田 武 三

裁判官 藤 林 益 三

裁判官 岸 盛 一

裁判官 岸 上 康 夫

裁判官大隅健一郎は退官につき署名押印することができない。

裁判長裁判官 下 田 武 三

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